2023年11月1日水曜日

VJEP帰国レポート (国際基督教大学3年 渡邉凜)

今回VJEP2023に参加して今こうして振り返ると、「反省」に尽きる。自分自身への戒め、これからの自分の人生に生かすための記録として、これから参加するであろう後輩のためにここに記したいとおもう。


まず、申し込むにあたって、参加するべきかもっと熟考するべきだったと反省している。ベトナムに行ってみたい、夏をどうにか充実させたいというように、思いつきで新しい世界へ飛び込むことは決して悪くないことだと思う。しかし、振り返ってみると、そのような軽い期待・動機だからこそ、結果や成果が軽いもので終わってしまうのかもしれないことに気付かされた。つまり何が言いたいかというと、今回のプログラムで得られたものが単なる「思い出」で終わってしまったことを今一番悔やんでいるのだ。また、矛盾してしまうかもしれないが、団体の活動理念や今までの歴史を十分に調べる前に決断したことで、自分でプログラムに対して勝手な期待を膨らませ、こうして活動を終えて得られた結果との大きな乖離にまた勝手に自分で自分を苦しめてしまった。私は今まで勢いのある決断で新しいことに挑戦してきて、当時の自分を咎めたくなるような大きな失敗や感謝したくなるほどの有意義な時間を経験してこられた。しかし、今回は何かスキルを身につけたわけでもなく、直面した苦難はこれからの糧にするには不十分な苦悩で、やるせない気持ちでしばらく悶々としている。この初めての感覚を体験できたことには十分価値を見出せて、これからの選択場面において必ず活きることには間違いない。しかし、もし勢いでこれから何か決定しようとしている人がいるならば、これからはストッパーとして応援したいと思うようになった。

次に、人に期待を寄せずに信頼することの自分自身の塩梅に反省している。これは私の永遠の課題である。グループ活動にて、役割分担をした後にその仕事が遂行されていないと大きな不安に駆られる。私が代わりにやろうか、待ったらいつかやってくれるよね、代わりにやったら嫌な気持ちになるかな、そもそも仕事の説明不足だったのかな、と仲間に期待したい自分と期待できない自分が常に対峙していた。今回は今までの反省から、声をかけながらも決して助けないことを心に留め、色々な感情を巡らせながら粘り強く待つ方法をとった。過程は置いといて、結果何とかうまく収まったと今は評価できている。私は今まで役割やタスクを与えられることで自分が必要とされていると認識し、それが安心材料になっていたので、正直その相手の気持ちがよくわからない。人が私に寄せる期待など図ることが出来ないにも関わらず、私はそれに応えようといつも必死にもがく。しかし、大抵の場合、相手はそこまで私に期待していなかったことに最後に気づき自分で傷つく。ただ、相手の期待に応えられなかったときのダメージの方が大きいからとりあえず仕事にすぐ手をつける、その繰り返しで今まで生きてきた。

「頑張らなくていいよ、そんな皆があんたに期待してないのだから。」

姉が、こんなことを思う私を見透かして先日手紙をくれた。ほっとした。すっきりした。でもふと思う。相手からの期待がないことに気づいたいま、私に頑張りたいことはあるのだろうか。そんな哲学的なことを考えなくても楽しく生きられるような健康な暮らしをすること、そして勉強がタスクとして機能している学生生活を謳歌することが今の私にできる唯一のことだと思う。話がだいぶ脱線してしまったが、期待と信頼はそう簡単にはコントロールできないけれど、今回のように鍛えることはできると思う。社会人になってこんな悩まなくてもよくなるように学生のうちにあえて集団に飛び込んで悩んでみるのは良い経験かもしれない。

最後に、自分の持つ知識がいかに偏っているか、欠けているかを反省している。異文化交流をするといつも、もっと歴史を学んでおけばよかった、故郷のことをもっと調べておけばよかったと痛感させられる。今回はそれに加えて、自分の持っている知識がいかに浅薄であるかを思い知らされた。言い換えれば、知識だけで知った気になってはいけないことを教えてもらった。ルームメイトの徴兵制の話になった際、徴兵制の性差別問題や性暴行などの大学で習った内容を彷彿とさせた。私が抱えていた女性への徴兵制のイメージはネガティヴだった。しかし、ルームメイトの彼女はまるで修学旅行の思い出話をするかのように、写真を見せながら楽しそうに物語っていた。国家を守るための訓練が楽しいもので良いのかといったらそれはそれで問題ではあるが、自分が思っていた印象を180度覆してくれた。そして昨夏ケニアに赴いた際に出会った旅行好きのイラン人の男性の言葉を思い出す。

“The more you travel around the world, the less your prejudice will be.”

行ってみなければわからない、話してみなければわからない。たとえ徴兵制に関する私の知識が信頼できる大学の先生の講義で得られたとしても、それが100正しいかといったらそうではない。実際に知ろうとすること、学ぶことの永続性について考えさせられた。また同時に、自分の外国での知見を友人や家族の人に伝える際の責任も私のルームメイトが気づかせてくれたのだった。

思い出で終わってしまったこのプログラムをこのような形で分析してみた結果、もしかしたら思い出以上のものになっているのかもしれないと思えるまでに至った。同じような境遇をまたも迎えてしまった未来の自分やいつかの後輩にとって少しばかり励ましになりますように。




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