2024年2月6日火曜日

「VJEP2023への参加で得たもの」(京都外国語大学 国際貢献学部3年 長島 悠花)

 今回のVJEP2023で、AAEEのプログラムに3回目の参加となった。過去2回のプログラムはオンラインでの開催であったが、今回はコロナウィルス流行後初となるオフラインでの開催となった。過去2回のオンラインのプログラムでも、質の高い異文化交流ができ、満足していたのだが、今回のプログラムでは、約2週間常にベトナムの空気に囲まれ、文化に触れ、人と関わっていたため、非常に濃密なプログラムであったと思う。この報告書では、私自身の体験を踏まえ、異文化交流とテーマであったサーキュラーエコノミーへの取り組みという二つの観点から、今回のプログラムを振り返っていく。

 まず、異文化交流という観点から振り返ると、ベトナムは同じアジアの国とはいえ、自分が日頃身近に感じている文化との違いを所々で感じた。最も印象深いのは、個人差はあれど、ベトナムの学生たちの圧倒的なエネルギーである。寝る間を惜しんで、翌日現地の商業施設で披露する見せ物の練習を夜中に何度もしていたり、ナイトマーケットを楽しんでいたりする姿は今でも忘れられない。またどんなに疲れていても、バスの中でも常に話していたり、笑っていたりと賑やかな雰囲気は、日本に帰国してから恋しくなることが時々あるほど、印象に残っている。そのような経験から、ベトナム人に対し、「エネルギーに溢れ、何事も誰かと共に楽しむことを最優先する人たち」という印象を抱いた。一方で、文化で個人を一括りにはできないということも改めて実感した。ベトナム人も日本人も考え方はそれぞれの文化の影響を受けているとはいえ、一人一人の考えは異なっており、文化を学ぶことも大切だが、一人の人間として関わることも異文化交流をする中で必要不可欠だと改めて感じた。そして、常に異文化に囲まれた生活で、普段より多少ストレスを感じていた自分が試みたことは、置かれた環境において、自分をどうやったら楽しませることできるかをただただ考え、それに従って行動するということだ。他の参加者と一緒に何も考えずに盛り上がったり、笑ったりするのは、むしろ言葉が完璧に通じないからこそ実現できることでもあり、異文化交流に必要な過程のひとつなのではないかと感じた。そして、言語の壁に関しては、最終プロジェクトについて話し合う際に悩むことが最も多かった。当たり前のことかもしれないが、「相手に自分の伝えたいことを正確に理解してもらうこと」と「相手の伝えたいことを正確に理解すること」は、同じ言語を話していたとしても、ほぼ不可能である。プロジェクトに取り組む中で感じたことは、相手を理解しようとしたり、また相手に理解してもらおうしたりすることに努めることを放棄するのは、妥協することとは異なるのだということだ。せめてこれだけは伝えなければいけないと思うことは、諦めずに丁寧に伝えることと、その姿勢を見せることが大事なのだと改めて感じた。


 次に、「サーキュラーエコノミー」というテーマへの取り組みという観点からも多くのことを学んだと思う。例えば、ベトナムの地理的特性や産業構造を生かしたVACモデルや企業による太陽光パネルの活用法などの興味深い例を学んだ。しかしながら、実際の街中でゴミが散乱していたり、普段の飲み物に大量のペットボトルが使われていたり、ゴミの分別が行われていなかったりと、市民レベルでの環境問題への取り組みとの間には依然差が生じていることを目の当たりにした。理論やモデルを学ぶだけではなく、現地で実際に社会問題を目にしたことにより、環境問題への取り組み方やその特徴が日本・ベトナムそれぞれの国で異なることに気づけた。そうしたことを踏まえ、最終プロジェクトとして、私たちのグループは、日本のもったいない精神を取り入れた、ゼロウェイストのコーヒーショップというビジネスモデルを考案した。この過程では、サーキュラーエコノミーという概念を正しく理解した上で、いかにオリジナリティを出しつつ、実現可能性の高いモデルを考えるかということに非常に苦戦した。しかし、グループで発表を無事に終えた時の達成感は、多くの困難を乗り越えたからこそ、私にとって格別なものだった。


 最後に、今回のプログラムでは多くの困難に見舞われつつも、多くのことを得られたと思う。机上で学ぶだけではなく、実際に自分の目で見て、体験するのに勝るものはないのだと再認識した。今回のプログラムの成功にご尽力いただいた、関先生、野澤葉奈さん、An先生、Minh Quyênさんには心から感謝申し上げたい。



0 件のコメント:

コメントを投稿