ネパール大地震の被災者への緊急復興支援(1)報告書
2015年5月19日
一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)
シャラード・クマール・シャルマ
背景
アジア教育交流研究機構(AAEE)は8年前から、アジア各国で活動をしています。AAEEの活動目的とは、アジアにおける学生間の交流を促進することにあります。この理念の下、AAEEは日本と他のアジア各国の学生の様々な活動を場を提供してきました。そしてAAEE初期から縁のあるネパールは、学生間の文化交流が盛んな地域の一つです。
4月25日に首都のカトマンズを含めた、ネパールのいくつもの都市でマグニチュード7,8の恐ろしい地震が発生しました。この地震で今までに8,500人以上の方が亡くなりました。カトマンズ盆地では、世界文化遺産に登録された、カトマンズダーバー広場、パタンダーバー広場、バクタープーダーバー広場、ボダナートが甚大な被害を受けました。ネパールの文化を代表する建築物である、ダラハラの塔の倒壊は300人以上の方がの命を奪いました。
何千人もの人々が、ホームレスとして暮らし、路頭にさまよっています。また、多くの学校、特に農村地域では授業が行えないほどの被害を受けました。
良い設備の学校ですら、法令によって休校となり、再開は5月末から6月上旬と予定されています。
緊急支援団
この地震をうけ、私は自身の交友関係を用いて連絡をとり、復興支援活動を始めました。大地震直後の混乱、他様々な理由でほとんどの団体が機能しない状況にあったので、私が急遽結成した緊急支援団は私個人の繋がりによって構成されています。また、資金も限られていることから、支援団メンバーの住むカトマンズ周辺の医療キャンプの支援をすることにしました。限られた時間の中でも入念なスカウトによってメンバーを集め、私達のチームは地震のすぐ、3日後に医療キャンプでの活動を開始しました。
A)医師(2人以上)
B)看護師(4人または5人)
C)薬剤師
D)ボランティアスタッフ(4人以上)
E) 運転手、アシスタント
ドライバーとアシスタントを除き、メンバー全員が無償で活動を行いました。
また寄付金から、最小限の額でメンバーの食事を賄っています。
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急遽結成したAAEE緊急支援チーム |
アジア教育交流研究機構(AAEE)日本本部からの支援
AAEEは自ら医療物資を購入したり、ネパールのビルグンジュにいる個人の方からの寄付もいただきました。しかし、この額ではカトマンズ盆地周辺のキャンプの分にしか支援額は達しません。しかし、シェルターを提供するための防水シート(テントやブルーシートなどに使用される素材)が必要とされている地域が、カトマンズから離れた地では数多くあります。
キャンプの活動が始まり一週間以上が経過し、AAEE代表の関先生とそのチームは「経済的な支援をネパールに行う」という誓いを立てました。5月5日のチャリティーイベントの直後に、関先生から50,000円(約40,000ネパールルピー)が私に届きました。
この多額の寄付金は、防水シート、医薬品、そして支援活動のための輸送費に利用されました。特にこの寄付金による支援は、ダディン地区のニガルパニの医療支援に貢献しました。この地区は地震で最も被害を受けた地域の一つです。また、合計30の防水シートがネゥコットのオクハルパワVDCという、もう一つの被害の大きかった地域で配布されました。
防水シートは一枚あたり、800ネパールルピー(1000円程度)かかります。通常よりかなり高い価格です。これは地震の被害を受けた地域では極めて需要が高くて品不足に陥っており、ネパール南部のビラテュナガーから運ばれてきたものだったからです。ちなみにこの防水シート1枚で、4人住みのシェルターを作ることができます。
このほかにも、ダンディングVDC、ルクレビャニヤンVDC,そして、バハクタプーのラリテュプーとシパドルVDCに医薬品の支援が行われました。
医療キャンプの概略と詳細について
1)ニガルパニ(ダディング)
ニガルパニは、カトマンズから5時間半移動した場所にあります。ニカルパニで我々は防水シートの配布、医療支援を提供することができました。地域住民と協力することで、300人を超える人々に支援がいき届きました。
2)ラクレ ビャニヤン(ラリテュプー)
ラリテュプーで私が目撃した、ほぼ全ての家は甚大な被害をうけており、我々が一時間かけて周った多く人々はひどいケガを負っていました。大地震以来、ラリテュプーの村中に溢れかえる、数か所もの切り傷を負っている人たちの光景は衝撃的でした。ここでは、治療の他に水の浄化剤のタブレット(川の水等を飲み水にかえる薬)を、正しい使い方を説明したのちに、詳しい説明書と共に提供しました。
3)シパドル(バハクタプー)
この日は2度目の大地震(マグニチュード7、3)が盆地を襲った次の日でした。キャンプ内には70人以上もの患者がいます。シパドルは盆地から、かなり近い距離にありますが、住居は甚大な被害を受けていました。地元の方々は積極的に我々の活動を支援してくださりました。
支援の結果と謝辞
3か所のキャンプで、300人以上もの被災者に支援を行うことができました。
また、AAEE日本本部からの支援金により100人以上もの人々に住居を提供することができました。彼等は地震によって、安定的に住む家を失った、困窮した人々ばかりです。彼等は将来自宅を建て直すか、政府か他の機関による支援を受けて新たな住居が見つかるまでは、この防水シートの住居に住むことになるでしょう。
私から心をこめて、AAEEの全てのメンバー、そして日本の学生の皆さん、ご寄付をくださった皆様の温かいご支援へ大変感謝を申し上げます。そして、私はまたAAEE代表の関先生のサポートとご指導に感謝いたしております。
最後にここヒマラヤからのメッセージです「私達が共に世界を築きましょう!」。
(翻訳 村上理、上智大学総合グローバル学部1年)