VJEP 2017-ベトナムプロジェクト報告書
「心を通わせる難しさ」
中央大学総合政策学部政策科学科
1年 田村彩音
まず私が言いたいことは、コミュニケーションツールは英語だけではないということだ。ベトナムに行く前、最初に日本人メンバーや関先生と顔合わせ・自己紹介をした時、他のメンバーに比べて学歴はあまり優れていないが、高校時代部のバンド活動を一生懸命やってきたという私に関先生は大きな期待を寄せた。英語が得意なわけでもなく歌が得意なだけなのになぜ先生は私にそんなに期待を向けているのだろうとその時は思った。確かに事前準備の段階において歌やダンスの練習をする機会はあったが、それだけではないと思った。出発する直前に、歌やダンスのような学習以外のツールは後々重要になると言われ、パフォーマンス係として、気を引き締め直した。実際ベトナムに行ってみると、私たちのパフォーマンスは最初グダグタだったものの、想像以上にベトナムの方々が盛り上がってくれて、もっと練習しないと、と日本人メンバー全員がそう思った。日付が超えるまでダンスの練習をし、なんとか形にすることができた。私たちの練習をベトナム人メンバーが見ると、自分たちも一緒に踊りたい、と個人的に練習している人も見受けられ、最初は合間の時間に一緒に踊っているだけでしたが、プログラムも後半に迫ると、どうせならベトナムメンバーも含めてみんなで一緒に舞台で踊ろうという話になり、全員で踊った。それは強く心に残る思い出の一つである。みんなで一緒に踊っている時は本当に楽しくて、全員が一つになった気がして、ダンスってすごいと思った。
また、前述したように私は英語力が乏しく、ベトナムメンバーと話す時に自信が持てず、最初積極的に会話ができずにいた。初めて両国メンバーで顔合わせした時も、ベトナムメンバーはみんなフレンドリーだったにもかかわらず、うまく話せるか変なことを言ってしまわないかなどいろいろ考えて緊張してしまい、多分私の顔は引きつっていたと思う。後にあるベトナムメンバーに、彩音の第一印象はあまり喋らない静かな子だと思ったと言われた。実際、私の性格は真逆なのだが、そう見えていても納得できるほど自分がその時固まっていたのは今でも覚えている。しかしそんな私を素に戻した瞬間があった。両国メンバーが一緒にゲストハウスに泊まっていた時のことだ。夜みんなで集まって、ベトナムメンバーが弾くギターを囲んで一緒に歌った。歌が好きな私にとってこの時間は本当に楽しくて、笑顔でみんなと歌い合っていた。その時自信を持ってベトナムメンバーと接することができたからか、それ以来心のわだかまりが解けて、彼らと向き合う勇気が持てた。
コミュニケーションツールは英語だけじゃない。私はこの経験を通して強くそう思った。ダンスや歌など、一つ何か突出して好きなことがあれば、共通の趣味を持った相手と話が盛り上がるし、一緒に歌ったり踊ったりして心を通じ合わせることができる。私の場合、歌で心を通わせることができた。先生が言っていた意味がその時わかった。この経験を元に、これからも英語を伸ばしつつ、歌も伸ばしていきたいと思った。
また私がベトナムの人たちとの間の壁を取り除くために必要だと思ったことは、相手の言葉や文化をもっと知りたいと意思表示することだと思った。ベトナムメンバーといる時会話に困ったら、とにかく「これはベトナム語でなんていうの?」と聞けば嬉しそうに答えてくれたし、英語が喋れないホストマザーやホストファザーに積極的にベトナム語を使っているとき、彼らはいつも笑顔で返してくれた。きっと彼らは自分の国を愛しているからこそ聞かれると嬉しいのだなと思った。特に一番思い出に残っているのは、ベトナム語の歌をメンバーに教えてもらったことだ。私がメロディーや発音を聞きに行くのをみんな喜んでくれて、頑張って習得しようと思えた。最後にはベトナムメンバーとみんなでその曲を歌うことができた。
ベトナムから帰ってきた一週間後に、大学のプログラムで異文化交流を目的にインドネシアへ渡った。同じ東南アジアということで、似ているところもあったがやはり異なるところもたくさんあった。しかし何においてもベトナムの方がよかったと感じてしまうのは一重にあの二週間が自分にとってかけがえのない思い出となり、またかけがえのない友達ができたことにあると思う。また私は今までにオーストラリアとイギリスに行き、異文化交流と合わせて短期間のホームステイも行ってきたが、これほどお互いの壁をなくして打ち解けたのは初めてである。その時と今回とで私の何が違ったかと聞かれれば、積極的に相手の文化に触れようとし、また英語を使おうとしたかどうかである。心の壁をなくすには自分でその壁にぶち当たりに行くことが大切だと私はこのプログラムから学ぶことができた。
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