2019年4月13日土曜日

ネパールMero Sathi Project 2019 2月プログラム 報告書(4)大熊美結(筑波大学生命環境学群生物資源学類2年)

「十人十色 ~ネパールで考えた幸せについて~」

筑波大学生命環境学群生物資源学類2年
大熊美結

 ネパールに行く前、「なんでネパールに行くの?」と何人に聞かれたことか。その度に、「途上国に行ってみたかったから。」と返答していた。でも、途上国に行きたいのなら、ネパールである必要はない。ましてや、英語が苦手な私にとって、今回のような議論型のプログラムは学びが浅くなることが目に見えていた。それなのになぜ、ネパールという土地を選んだのか。帰ってきた今でも思うが、それに対しての明確な答えはない。ただ、そのプログラムと出会ったときに縁を感じたからというだけだ。若干20年も生きていると様々な出会いがある。一つ一つの縁を大事にするかどうか、つかみ取って離さないことがどんなに大切か。私は、このネパールでの経験を通じて、特に人と人とのつながりがいかに重要か、身をもって感じさせてもらった。この報告書では、彼らと幸せについて考え、交流し、特に大切だと感じたことをここに挙げようと思う。

~積極的な姿勢と好奇心を持つこと~
 積極的な姿勢を持ち、自ら行動を起こすことが他者との交流や深い学びに繋がっていく。英語力が足らないからと言って消極的にならずに、いかにコミュニケーションを図るか。ネパール人は言葉足らずな私にわかりやすく詳しく、色々教えてくれた。小さなことでもいいから、これは何?、なぜ?と疑問を持つこと、興味をもつこと、それがとても大切。EDU farm(上図)という農場ではネパールの農業の実情を知ることができた。事前準備の段階では、ネパールの食料自給率はほぼ100%であったが、現地のネパール人に聞けば半分にも満たないという。その理由は、雨季が2ヵ月しかないこと、そしてなにより山がちで機械も入りにくい段々畑と、この土地特有の土の乾燥状態が収穫率を下げているのだという。これは現地に行かなければ実際にわからなかったことであったし、聞かなければそこまで詳しく教えてもらえなかったであろうことの一例である。
 私は、ネパールに行くまでは、乾燥地域でなければ、どんな地域でも農業を推し進めることができるのではないか?と思っていた。けれど、効率の悪さがゆえに、みんな出稼ぎに行ってまで、農業をしない現実が目の前にあって、復興させるにはたくさんの難題があって、安易に考えていた自分が恥ずかしくなった。無知の恐ろしさに改めて気づかされた瞬間であったと同時に、自分はこの土地をどうしたいんだろう、と考えさせてもらえた時間でもあった。このように考えると、少しの疑問をネパール人に聞くことで、その背景や現状を知ることができるとわかった。だからこそ、ちょっとしたことでも頭に引っかかったことは解決すべきだし、何にも興味をもって接することはとても大切なのだと感じた。
 無知はこれから知っていけばいいが、無関心はすべてを閉鎖してしまう。そして、何よりこのことが幸せを考えるうえでとても重要だと感じた。現地の人の立場になって幸せを考える。そうすると、環境的に社会的には決して恵まれていない人たちでもそれが不幸であると決めつけてはいけないのだと強く感じることができた。ガルガンという山で暮らす人々は、その土地の文化と生活をとても楽しんでいて、好きだと言っていて、私たちが勝手にその暮らしが不便だから、大変だから幸せではないんじゃないかと決めつけてはいけないのだと知った。そう思う理由はいくつかあるだろうが、私たちの固定観念のようなものは取り払って、相手の話に興味をもって疑問をもって聞くことが、幸せとは何かを探す情報源になった。

~幸せとは何か~
 このプログラムを通して分かったことは、幸せは目の前にあるということ。もちろん一人ひとり置かれている立場や状況は違う。家族がいる、大切な友人がいる、自分のしたいことに取り組めている、毎日が平和に暮らせている、ご飯がたくさん食べられる、何でもいい、自分の身の回りをもう一度確かめること。そうすることで、自分の置かれている立場に少しでも感謝出来たら、その幸せを感じることができるのではないか。今、もし幸せを感じられないのだとしたら、自分が抱えているストレスや不安がとても大きいのだと思う。日本人がハードワーカーでストレスを感じやすいのは、幸せを感じる前に抱えていることが大きすぎること、そう捉えてしまっていることが考えられるのではないかと思った。ガルガン地域に暮らす人々の情報の少なさや利便性の低さは否めないが、それでも彼らは彼らの暮らしの中に幸せを見出している。
 また、訪れた3つの学校(上図はそのうちの一つ)での子供たちの笑顔を見ていると、それぞれの学校の存在する意味に違いはあるものの、幸せはその子たち自身が見出していて、その時を楽しんでいるように感じた。幸せは掴むものではない、いかに見出して感じられるか。そのために、まず自分自身を好きになること。そうすることで、自信を持ってあらゆることに取り組める積極性を持つことにもつながるし、物事をポジティブに捉えるようにもなれる。そういった意味で、幸せとは自分を肯定して、どんな小さなことにも感謝を忘れずに、一瞬一瞬を大切に生きていく中で感じられるもののように思う。

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