ホーチミン空港からホテルに向かうタクシーに乗り込んだ瞬間からベトナムを肌で感じました。見慣れない文字とバイクであふれる道路に急に降り出す雨。久しぶりの海外渡航にワクワクする心と、いよいよ始まるという緊張感で車窓から見える景色を目で追うのが精一杯だったことを覚えています。そこからの2週間は飛ぶように過ぎていきました。ビンズオン省の高官の目の前で学生の目線から見たこのプログラムに対する思いや成果、目標などをスピーチをしたことをはじめ、ベトナムで得た濃い経験と最終日に全員でsee you againを熱唱した深い友情は一生忘れることはないでしょう。
この2週間は毎日が非日常で、その中で起こる問題をどのように乗り越えるかという学びの連続でした。それには最年少のプログラムリーダーという立場を通して多くの経験を得たことが最も影響を与えていると感じます。閉会式が終了するまで、全てを無事に成功させたいという思いとは裏腹に、周りの参加者は全員年上というプレッシャーと、期待に沿えるのかという不安が四六時中付きまとっていました。しかし、リーダーとしての役割を果たしていく中で、得た学びや苦労はかけがえのない貴重なものであったと断言できます。一例として、「既に決まっていることも変えることのできる選択肢があること」に気づいたということが挙げられます。日々のリフレクションや参加者の声を聞く中で、当初決まっていたプログラム内のアクティビティでは今回のテーマである「循環型経済」に関して議論や講義を通して学習したことを十分に生かすことができないと感じるようになりました。しかし、事前に決まっていた活動内容を変更するなど最初は頭にありませんでした。今までの自分は与えられた内容に不満があったとしても、自分にはどうしようもないことだ、と割り切ってしまっていたのです。しかし、先生やオーガナイザーの方と多くの協議を重ね、プログラムの内容を自分たちのアイデアやコミュニケーションで全員がより達成感を得られるものに変えていくことができました。このことから、丁寧な対話の大切さを学んだと同時に、受け身の姿勢では自分の可能性や行動の範囲を閉ざしてしまっていることに気づきました。これまでは自分の目の前に用意されたレールをまっすぐ歩くことしか行ってきませんでした。それは決して悪いことではありませんが、思い切って脱線して自分たちでレールを作ることで、さらに上を目指せることが分かりました。
また、私たちのアイデアを一生懸命聞き入れて、なんとか取り入れようとしてくれた「ベトナムの人たちの温かさと誠実さ」に心を動かされました。ベトナムのメンバーも、私たちを、異なる国から来た自分たちとは違う人、という接し方ではなく新しい友達として受け入れてくれました。初日から全員を巻き込んで交流をし、大きな声でしゃべり続けるエネルギッシュさにも圧倒されました。最初は戸惑ったものの、レストランの中であろうと、人前であろうと関係なく、堂々と歌ったり踊ったり、思うままにリアクションがとれる姿を間近に見て、まっすぐな姿勢を内心うらやましく思うこともありました。同時に、日本社会は空気を読むことを大事にしすぎるあまり、個々人が心の思うままには生きにくい社会なのではないかと改めて感じました。些細なことまで考えて行動する高コンテクストの日本社会はむしろ良い面もありますし、私は別に嫌いなわけではありません。しかし、純粋に生きるベトナムの人たちに影響を受けて自分もここでは少しは大胆な行動ができたような気がします。
激動の2週間を今改めて振り返ってみると、日本を飛び出して様々な価値観をもつ人と関わる機会を得られたこの旅で、私は大きく成長することができました。それは、関先生やプログラムのメンバーをはじめ、VJEP2023に関わっていただいたすべての方の支援があったからこその結果であると強く感じています。プログラムの変更に関して短期間で試行錯誤するなど、多くの困難や壁に立ち向かってぶつかり、精神的にも体力的にも疲弊した際に話を聞いていただいたり、的確なアドバイスをしていただいたり、自分を上へ上へ引っ張り上げてもらっている感覚を常に感じていました。この場を借りて感謝申し上げます。また、同時に、自分の成長の伸びしろ、未熟なところがまだまだあると痛感しました。今回のプログラムで学んだことを活かし、これからも新しいことへの挑戦を続け、経験を積み、成長していきたいと思います。
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