「ネパール研修を通じて学んだこと」
東京経済大学3年
北野 宏晃
2017年2月下旬~3月上旬までの2週間ネパール研修に参加した。私はこの研修多くの経験をし、たくさんのことを感じた。その中でも私は「現場の大切さ」と「異文化受容の大切さ」に焦点を当てて報告書をまとめた。
日本人メンバーとネパール人メンバーでパートナーシップの輪を築けた瞬間 |
1.現場の大切さ
私は先入観に囚われやすい人間である。だから、私はどこか訪れる前には必ず本を読んだり、インターネットで調べたりして最低限の知識や常識を頭に叩き込む。それでも、毎回現場へ赴くと、私の知識とのギャップに驚かされる。例えば、去年ミャンマーへ訪れた際、本では①宗教は日本と同じ仏教②ミャンマー急成長中といった事が書かれていた。しかし、実際に現場へ訪れると①については、現地の方はほぼ毎日寺院に行き、小学生の頃から仏教経典を唱えたりなどと、同じ仏教でも明らかに日本と異なるほど信仰心が熱かった。②については急成長中と書かれていながら、都市部でさえも建設中の建物などなく、明らかに発展途上国を彷彿とさせる外観であった。現場に訪れて本物を見ることで、1冊の本では収まりきらないたくさんの事実や発見を目の当たりにした。
今回のネパールも同じである。
そもそも私は、ネパールについて(1)とにかく貧しくてかわいそうな国。(2)後発発展途上国だから、教育のレベルも非常に低い。といったマイナスのイメージしか持っていなかった。また、本やインターネットで調べてもあまりプラスの情報を得られなかった。
しかし実際に現場へ訪れてみた結果、やはり私の常識を覆された。例えば、(1)はシックレス村という貧しい村へ行ったときだ。お世話になった現地の小学生やホストファミリーは、貧困で困っているとは思えなかった。むしろ、みんな温暖な性格で笑顔に溢れており、平和な日常に感謝していた。言葉で表現するのは難しいが、私は、ネパールに赴いて貧困を目の当たりにした。しかし、それと同時に「目に見えない心の豊かさ」を教えてもらった。(2)についても同様のことが言える。関わった現地の学生は全員流暢な英語を話す。それだけではない、自国の文化や習慣、さらには国際情勢などの時事ネタもしっかりと理解しており、それに対する自分の考えも持っている(英語で)。私は研修中、一緒の部屋になったネパール人学生に、ネパールの国歌について質問したら、私が理解するまでわかりやすく(もちろん英語で)説明してくれた。逆に、相手から日本の文化について質問されても、私は答えられないことが多く、ひたすら「Sorry」と言い続けていた。私は非常に惨めな気持ちになった。
実際に現場へ訪れることで、はじめに持っていた「貧しい」「かわいそう」などの固定観念が壊されていった。それどころか、「贅沢を求めすぎず日常に感謝すべき」「もっと勉強しないと取り残されてしまう」という考えに変わった。
先入観や固定観念に囚われてはいけない。しかし、本やインターネットで読んで調べて、原理原則を暗記するだけでは理解できたとは言えない。現場へ赴いて現実を目で見て肌で感じることが大切であると改めて考えさせられた。
交流した小学生に合気道を教えている風景 |
2.異文化受容の大切さ
現在、日本のみならず世界規模で多くの問題が起こっている。SDGsはこれらの諸問題を17個に分けたものである。もちろん、これらの問題は自分一人では解決できない。また、日本人だけで協力して解決することも不可能である。これら「世の中の課題」を解決するために、我々は国境・言葉・文化・宗教・価値観の壁を越えて全世界の人達と協力しなくてはならない。私は、SDGsの17項目の中で「パートナーシップの輪を築こう」は最も重要な課題だと思う。しかし、同時にこれは最も達成するのが困難な問題かもしれない。なぜなら、パートナーシップを形成する人は自分とバックグラウンドが異なる人である。だから、自分と異なる価値観、種族の人達とパートナーシップを結ばなくてはならない。
今回の研修でも、現地でカルチャーショックを受けた。それは時間の使い方であったり、食文化であったり、議論の仕方であったり、人との接し方であったりと多々ある。つまり、2カ国間でもこれだけの違いがある。しかし、こういった違い(カルチャーショック)を受けたとき拒絶をしたり、批判をしたり、自分の文化を押し付けていると、パートナーシップの輪を築けないだろう。大切なのは、相手の文化や習慣を差別せず、しっかりと尊重することである。そのうえで、礼儀をわきまえて相手のことを理解しようとすることが重要だと思う。
この研修中、私はネパール人メンバーに自分の行動や価値観、嗜好を一度もバカにされたことがない。それどころか、皆私に興味を持ってくれて、尊重してくれたのだ。また、私もネパール人メンバーの行動や価値観を批判することはなかった。むしろ、自分の意見を持っているところや、相手のことを家族のように接するなど、とても尊敬できる部分が多かった。
私は決して英語が堪能なわけではない。また、日本文化について聞かれてもうまく答えられないことが多々あった。それでも別れ際、私は涙を流しそうになった。そして、帰国後も彼らと連絡のやり取りが続いているパートナーシップを築くことに成功した。これはやはり「互いに相手の違いを尊重し合う」ことが起因していると思う。この研修を通じて改めて学べた。
私は今後もネパール人のみならず様々な国籍の人と交流していきたい。もちろん、その時は日本の常識では考えられない多くの異文化に衝突すると思われる。それでも、拒絶せずにしっかりと尊重して向き合いたい。そして、その人たちとパートナーシップの輪を築いて「世の中の困った」を解決できるように日々勉強しようと思う。
お世話になったホストファミリーへ日本からのプレゼント |
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