2020年9月18日金曜日

ベトナム CVJ 2020 (Connect Vietnam-Japan, 2020) 報告書(6)石橋侑子(早稲田大学政治経済学部政治学科2年)「参加者報告書」

  1. 参加した理由


私は幼い頃から新宿区で生活している為、常にアジア圏の外国人を身近に感じていました。その中で草の根レベルで現れる文化摩擦等による異文化包摂社会形成の難しさを肌で感じ、どうすればこうした生活習慣・常識の違いから生まれる文化摩擦を解消できるのか考えたいと思っていました。そして高校時代には欧州随一の移民大国であるドイツに留学し、自身が「移民・外国人」として扱われる経験をしました。受け入れる側のみならず移住する側の視点をも得たことで、双方の納得できる包摂社会形成のプロセスを研究したいと思い、大学では政治学を中心に経済学、国際関係、公共政策、文化人類学等を勉強しています。

そして、その様な私のバックグラウンドを知る旧友が紹介をしてくれたことで、今回AAEEコネクトジャパン・ベトナムプログラムに参加するに至りました。日本における移民を含めた包摂社会形成プロセスを研究したい私にとって日本に移住している外国人の中でも多くを占める、アジア圏の方と交流し、その文化や考え方を知ることができるのはとても貴重な機会でした。前述した通り、異文化衝突の主な原因は文化の齟齬である為、その解消にはまず相手国の「当たり前」、即ち文化を知ることが効果的だからです。そういった意味で、今回プログラムは私にとって魅力的な内容で、参加を決めました。


  1. プログラムについて



学生主導の交流プログラムとあってか、各々やりたい企画を自身で提示して実行に移せるところが最も良かったと思います。皆、日本人もベトナム人も双方が能動的に活動していました。私は今回のオンラインプログラムのみの参加でしたので、オフラインで行われる本来の活動雰囲気は分かりませんが、それでも積極的に学生がプログラムにコミットする、土台の雰囲気は感じることができました。

特にベトナム側の本プログラムにかける熱意の大きさはひしひしと伝わってきました。そうした高いモチベーションのある生徒に対し、彼らが国外の生徒(今回は日本人)に自身の価値観、意見、文化を発信できる機会を提供することはとても有意義だと思いました。彼らの様な熱意ある生徒が自分の考えを発信できないことは非常にもったいないです。AAEEはそうした生徒たちにとっても貴重な機会であり、そしてそれを受け取る側にとっても勉強になるプログラムだと思います。


  1. オンライン開催について


今回全オンライン実施プログラムに参加した事で、いくつかオンライン開催の利点と改善点を私なりにピックアップしましたので、報告致します。


  1. 利点


・国内参加者が出身地を問わずに参加することができる

→今回東京近郊のみならず、関西地域に住む参加者とも共にプログラムに参加できたことが面白かったです。「日本人」代表としてベトナム側と意見交換するにあたり、東京近郊住人のみでの参加だと日本チーム内の意見も似たり寄ったりしてしまうと思います。そして、その意見は果たして本当に「日本人」の意見として発信すべきものなのかという疑問が残ります。本来のオフライン開催だと距離的な難しさから、やはり東京近郊の生徒が参加者となってしまう事はしょうがないと思います。そうしたオフラインの弱点を、今回オンラインは克服していました。次回またオンライン開催がありましたら今度はもっと日本国内の色々な地域から参加者が集まれば面白いと思いました。


・費用がかからない

→プログラム参加に際し、最もネックとなるのは費用面での負担の大きさです。その為、元々ベトナムや国際交流に対し興味のある人しかそもそも本プログラムに参加しない、という参加者の偏りが出ていたと思います。その面、オンライン開催は現地に行く必要がない為安価で済みますし、参加自体のハードルが格段に下がっています。現地に行かずとも、ベトナム、海外、又は教育に興味が湧いたという生徒が1人でも増えれば本プログラムの意義はあると思います。参加のハードルが低い事で、あまりそういった領域に興味がない生徒も気軽に本プログラムに参加し、国際交流や文化理解に対して理解を深めることが出来ます。そして結果的に理解者が増えれば社会全体の国際理解意識向上に一歩近づきます。オンライン開催を通して元々理解のある生徒のみならず、興味のない生徒も巻き込んで活動の幅を広げることが社会全体の利益につながると考えます。


  1. 改善の余地有りな点


・プログラム内容の簡易化

→今回はオフラインで行われるはずだった内容をほぼそのままオンラインで行ったと聞きました。円滑なコミュニケーションが難しい中でオフラインと同様の活動をする事は困難でしたし、参加者の負担も大きかったです。オフラインの内容をオンラインで行っても、従来の二番煎じになってしまいます。次回からは参加者の負担が軽減され、且つ想定されうる機材トラブル等が発生しても落ちついて履行できるプログラム内容を実行した方が結果的に参加者の満足度が高まると思いました。具体的には、料理等の「確実に一緒にやった方かいいもの」をプログラムに盛り込む事は諦め、その分ディスカッション等オフラインでもオンラインと同等の満足度を得られるプログラムに重点をおく等の対策があります。例えば、従来よりもディスカッションに時間を多く割き、トピックも幅広く多様なものを設定する等です。教育や文化、政治についてなど、アカデミックな内容のみならず、好きなものや、恋愛観などといったカジュアルなトピック設定を行う事で参加者同士も楽しくお互いを知ることができると思います。


・ベトナムチーム、日本チームで独立してしまっていた

→実際に顔を合わせないので、自然によく準備段階でzoomをする日本人同士、ベトナム人同士で仲良くなっている雰囲気がありました。原因は準備段階で国間の交流が少なかったことだと思います。対応策として事前のビデオ作成企画などに、日本人とベトナム人共同で行うものを盛り込むことを提案します。例えば、今回は日本人は日本人、ベトナム人はベトナム人で劇・ダンス動画などを作成しましたが、それを共同で行っても面白かったと思います。


  1. 最後に


今回のプログラムではベトナムの文化やベトナム人生徒の考え方を知ると共に、様々な魅力ある日本人学生とも知り合うことが出来、とても楽しかったです。またオンラインでのグループワークの大変さなども学ぶことが出来ました。この様な機会を提供してくださった関教授、運営の方々、携わってくださったベトナム側の方々、そして7人の参加者の皆様、本当に有難う御座いました。特に運営の方や参加者リーダーは多くの困難に悩まされたと思いますが、常に参加者やプログラムの為に尽力してくださったこと、本当に感謝致します。



0 件のコメント:

コメントを投稿