Connect Vietnam-Japan、通称CVJが終わって2週間が経った。たった一週間のプログラムであったが、国際理解・自己成長、二つの側面において、学ぶことの多いプログラムであった。そして、zoomという新しい形式での国際交流の可能性を感じさせる、そんなプログラムであったと思う。終了から2週間というこのタイミングで、改めてCVJ全体を振り返りたい。
ベトナムの学生はオフライン参加、うらやましい。 |
私がCVJに参加を希望したきっかけは、まぎれもなく、Covid-19によるパンデミックである。大学の授業がオンライン化され、緊急事態宣言でアルバイトがほとんどできなくなるなったことにより、私は多くの自由時間を手に入れることができた。この自由時間をどのように消費していくか、そこで考えたのが国際交流系のイベントへの参加である。高校一年生の時に留学した経験から、国際交流にはとても興味があり、高校時代にはそのようなイベントに積極的に参加していた。しかし、大学に入ってからは、授業に追われるあまり、そちらには手を出せていなかった。手を出すには今しかない、その様な思いから国際交流系のイベントへの参加を決意し、たまたま姉から紹介されたCVJに申し込みをした。偶然にも、一年生の前期にベトナム語の授業を選択しており、そこでの授業を通してベトナムに興味を持っていたが、そのベトナムとZoomを使って交流をするとはいったいどんなものなのか、キックオフ前は不安と興奮でいっぱいだった。
6月末、日本人参加者が全員決まり、初めてミーティングが行われた。そこで本番までに用意するよう出された課題が、日本紹介に関する8つの企画である。伝統衣装紹介や日本の童話に基づいた劇、日本語紹介などが含まれていた。CVJは毎年行われているが、Zoomでの開催は今年が初めて。言うまでもなく8つの企画をオンラインで行うのも初めてであり、前例がないものをいかにやりきるか、参加者全員で頭をフル稼働し考えた。中でも印象的だったのが、オンラインで商店街ツアーを行う“バーチャルフードツアー”という企画である。Zoomをつないだ状態で商店街に出向き、その映像を共有することを通して、ベトナム人参加者に日本の商店街の雰囲気を味わってもらう、という内容が想定されていた。しかし、そのディテールを決めなければならなかったのはまさに緊急事態宣言が解除された直後。外出すらためらわれる状況の中、そもそもなぜそのような企画が用意されているのか、そのような疑問が参加者の間で交わされた。そのさい浮かび上がってきたのが、ベトナムと日本のコロナウィルスの状況の違いである。日本が外出もままならない状況であった一方、ベトナムは当時、日本ほど事態はひどくなく、バーチャルフードツアーを行える状況にあったという。自国の状況だけですべてを決定できないこの事実に、改めて、国際交流の難しさを感じさせられた。国の状況の違い、という点については、コロナウィルスのみならず、教育についての話し合い中にも似たような体験をした。
今回のプログラムは、テーマが“教育”と設定されていた。そして、ベトナム人・日本人それぞれ2名、合計4名のグループを作り、チーム内で“高校生にキャリアを考えさせるためにはどのようなプログラムが必要か”を話し合い最終日にプレゼンをするという課題が与えられた。私たちの班はまず、各々が感じる高校教育に対する問題を共有したが、ここで出てきたのが各国の教育状況の違いである。私のグループでは、日本の問題として、塾などにより発生する教育格差を問題として取り上げようとした。学校があるにもかかわらず、塾という機関が存在してしまっている状況、そして、その存在により情報格差が存在してしまっていることを具体的に取り扱おうとしたが、ベトナムでは塾が一般的でないこともあり、深い議論に発展しなかった。ある国で問題にされていることが他国では全く問題とされていない、当たり前といえば当たり前のことであるが、このCVJの交流を通して改めて、その事実、そしてそれを乗り越えることの難しさ思い知らされた。
このようにCVJを振り返ってみて驚くのが、私に起こった主要な問題は、国際交流だから起こった問題であり、決してオンラインだから起こった問題ではない、ということである。オンラインだから起こった問題はほとんどないといっても過言ではない。通信状態の悪化により音声が乱れることなどもあったが、チャットボックスの活用で乗り越えることができた。おそらく日本で初めてのZoomを介した日越オンラインの国際交流は大成功であったのである。私はこの事実から、改めてZoomの可能性、そしてZoomを介した国際交流の可能性を感じた。もう誰だっていつだって世界とつながることはできる、あとは私たちのやる気と勇気だけ。そんな時代が来たことにとても興奮した。
5Gが実用化され、情報が今まで以上に大量、高速で送られるような時代になれば、上記にあげた音声の乱れの問題も解決されていくだろう。世界がオンラインで強く結びつく時代ももうすぐそこまで来ている。そのとき、私たちが行ったCVJプログラムは、様々な国際交流プロジェクトの手本となるだろうし、私はそのようなプログラムに参加することができたことを心から嬉しく思う。プログラム後、私はAAEEの学生ボランティアとしてこれからもAAEEと活動を共にすることを決意した。国際交流の体系が今後どのように変化していくか、AAEEとともに考え続けていきたい。
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