2021年4月1日木曜日

2021年春休み 多文化共生学習会報告書(4)淺井麻緒(啓明学院高校3年)

  この報告書を作成するにあたって、何を書くかすごく悩みました。勉強会で学んだことや印象に残ったこと、身についたこと、どれも多すぎて上手く言葉にできるかわかりません。また、ゲストの方々がくださった素敵な言葉がたくさんあるので、ほんとうは全部、ここに書き留めたいです。でも、これは私の報告書なので、今回は私が初日にぶち当たった「ディスカッション」という壁と自身の成長、そして「幸せ」について学んだことを書き記したいと思います。

 高校を卒業し、大学入学までの期間で何か新しいことに挑戦したいと思っていたところでこのプログラムを知りました。オンライン開催ということもあり、正直軽い気持ちで応募しましたが、勉強会が始まってみると参加者は大学生の方ばかりで、ディスカッションのレベルも想像以上に高く、ものすごいところに参加してしまったと、とても焦ったことを鮮明に覚えています。それまで私は、ディスカッションをほとんどしたことがなかったので、自分の意見をまとめて、発言するということに苦戦しました。さらに、皆さんの意見が深すぎて、発言を躊躇ってしまうことが何度もありました。そこで私は、自分の考えの浅さや、知識のなさを痛感し、初日の勉強会が終わった後には、残りの6日間をどう乗り切るかについての不安と、そんな自分への悔しさでいっぱいでした。しかし同時に、成長できるとても良いチャンスだと考え、最終日までに絶対に自分を変えてやる、と決めました。

 とはいえ、何をすれば良いのか分からなかったので、メモをたくさんとることから始めました。6回分のお話を記録するのに使ったノートは、20枚に渡っていました。他の方の意見を聞いているときは、脳みそをフル回転させて理解しなければいけないので、ディスカッションが始まるまでに内容を頭で整理しておくためです。すると、自分の中に少し余裕ができ、話に置いていかれるようなことはなくなりました。発言することに関しては、背伸びしすぎないことを意識しました。経験も知識も豊富ではない私だからこそ、高校生の私だからこそ、感じることも多いのではないかと思いました。だから、分からないことは素直に「分からない」と言い、難しい問いには違う視点からアプローチしてみました。自分で勝手に上げていたハードルを下げてみることで、かなり気持ちが楽になりました。また、回数を重ねるごとに緊張が解けたこともあり、少しずつ自分を出せるようになったと思います。自分から積極的に意見を言うといったことはあまり出来ませんでしたが、最終日を迎えた頃には、発言することに以前よりもストレスを感じなくなっていました。たったの7日間で、自分で成長を実感することができました。

 そして2つ目は、勉強会の中でも特に印象に残っているテーマ、「幸せ」についてです。中でも、ネパールの方々についてのお話に感銘を受けました。ネパールは日本ほど豊かな国では無いですが、悩みを持つ人が少なく、幸せを感じている人が多いそうです。物理的な幸福度は日本の方が高いけれど、精神的な幸福度はネパールの方が高いと聞きました。実際、自称ネパールのhappiest womanである女性の写真を見せてもらった時、画面越しでも心から楽しんでいる様子が伝わり、本当に幸せそうに見えました。なぜ、豊かな国である日本人より、ネパールの方々のほうが幸せなのか、すごく不思議に思いました。その答えは、「日本には選択肢や可能性が無限にあるため、現状に満足しづらく、幸せを感じるのが難しい」というものでした。とても驚きました。むしろ、選択肢の多さは幸福度の高さに比例すると思っていました。しかし、思い返してみれば私も、人と比べて劣った自分の現状を受け入れられなくなることが多いです。また、最新のスマホや服など、今持っているものでさえ、周りを見ると友達が羨ましくなって、もっと欲しいと思ってしまいます。その日のグループセッションでアシスタントの方から、コップの話をしていただきました。コップに半分水が入っている時、「半分も水が入ってる!」と思えるか、「半分しか水が入っていない」と思うかによって幸福度が変わる、というものでした。私はこの話を聞いて、すごく共感したと共に、自分だったらどうだろう、と不安になりました。きっと、後者なんだろうなと思いました。先ほども述べた通り、人と比べてしまうことが多いからです。例えばもし、隣の人のコップの水が自分よりも多かったら、自分の水の量に不満を持つと思います。自分は不幸だ、と思ってしまうかもしれません。しかし、幸せの基準は自分で作るものです。人に植え付けられるものではありません。同じ状況でも考え方を少し変えるだけで、幸せを感じられるということ、これからも忘れることなく生きていこうと思いました。

 今回この勉強会に参加して、様々な方のお話を聞いたことで、視野が広がり、考え方が大きく変わったのはもちろん、多文化共生について学んで、国際交流の基本となることをたくさん知ることができました。関愛生さんの、「その時々で一生懸命考え、答えを決め、毎日自分なりのベストを出していくと世界は広がっていく」という言葉の通り、これからも自分の目の前にあることを一生懸命、突き詰めていきます。

 最後に、素敵な勉強会を開催してくださった関先生、AAEEの皆様、そして参加者の皆様、本当にありがとうございました。参加して良かったと、心から思っています。



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