「4カ国の温かさに触れた7日間」
参加動機と最初の印象
私がこのプログラムに参加した動機は、単純に「外国の人たちとたくさん喋りたい・英語力を向上させたい」というものでした。コロナ禍において留学もしばらくは出来そうになく、せっかくの春休みを利用して国際交流など何か貴重な経験をしたいと模索していたところ、このプログラムを見つけました。費用もかからず、7日間という長さも丁度良く魅力的に映ったため応募しました。テーマは「環境」でしたが、環境問題に日頃から特別関心があったわけではなく、参加が確定してから急ピッチで環境問題について自分なりに調べ、専門用語的な英単語も地道に覚えて準備していました。私は学部時代、学校教育学類の保健体育専修に所属しており、大学院でもスポーツ心理学の研究をしています。はっきり言って、国際交流とは無縁で英語もほとんど喋れませんでした。このプログラムの参加者のほとんどは英語を不自由なく喋ることができます。その輪の中に飛びこんだ私は、専門分野も違いますし、結構変わり者というか珍しいタイプの参加者だったと思います。最初は、本当にコミュニケーションが取れるのか不安だらけで、実際他の人の発言を聞き取るのにもかなり苦労し、8割くらい聞き取れていなかったと思います。
5つのグループに分かれてのプレゼン準備
環境問題に関して、「Fire」「Water」「Soil」「Air」「Life」といった4人ずつの5グループに分かれました。各グループには4カ国から1人ずつ入りました。オーガナイザーの方も各グループに3、4名ずつ入り協力してくださいました。当然、私のグループは日本人1人で初めは中々言いたいことを言えなかったのですが、同じグループのバングラデシュ、ベトナム、ネパールの仲間がびっくりするくらい気さくで優しく、何度も助けてくれました。次第に皆の話している内容が分かってくるようになり、自分の意見も伝えられました。グループメンバーの時間の都合が合わず、苦労したことも多かったですが、それはそれで自分が成長するための時間になったのではないかと思っています。特に、皆で苦戦したのはこのプログラムの最終目標である「実現可能で、独創的な解決策」を考えることでした。このプログラムでは、環境問題に関する5つの各トピックに対して、現在の世界の状況を調べ、「実現可能で、独創的な解決策」を考える必要がありました。それが最も難しく、頭をひねっても中々良いアイデアが思いつきません。環境問題に対してもっと知識が必要だったというのももちろんですが、自分の独創性の乏しさを痛感しました。
このプログラムでは、4カ国の学生が混ざった環境問題グループの他にも、各国のプレゼンのために日本人の参加者だけで話し合う機会がありました。そこで私は日本の他のメンバーに、自分のグループでは独創的な解決策が思いついていないことを打ち明け、アドバイスを求めたところ、「環境デザインとか利用するのどうですか?」とアドバイスを貰いました。そこで私はハッとし、環境デザインは私が大学院で専攻している心理学とも大きく関係していることに気づき、「どうして今まで自分は、せっかく学んでいる心理学を環境問題の解決策に生かさないんだ?!」と気づかされたのです。専門分野は違えど、違うからこそ異なる視点で物事を捉えられるのではないかと思いました。結局、心理学を十分に生かし切ることが出来なかったと思うので、それが唯一の心残りです。しかし、それは私の専門分野への勉強に対する更なるモチベーションになったことは間違いありません。物事を広い視点で捉え、専門領域を超えてでも生かせることを見つけていくというのは、非常に重要なことだと感じました。アドバイスをくれたメンバーたちには本当に感謝しています。
最終日~プレゼンを終えて~
プレゼン本番を終えて、ホッと一安心したと同時に他のグループの発表がどれも素晴らしく、学ぶことが大いにありました。どのグループも本当に頑張っていたんだなという気持ちでした。環境問題に対して知見が深まり、そしてそれは日本の状況だけを見ていては気づけないこと、アジアの他の国の学生の意見を聞くことで新たに知ることがありました。環境問題は、隣国から地球の裏側の遠い国にも影響を及ぼしており、国同士で協力しなければ解決できないため、このように4カ国の学生どうしが意見を交わし合うというのは重要な機会だったと思います。
最終日の夜は、打ち上げ的なイベントがありました。ゲームをしたり、歌やギターなど特技を披露する人もいました。日本グループは「花は咲く」を各々が歌って録音したものを音楽編集技術に長けたメンバーが一つに合わせてくださり、それを流しました。日本で10年前に起きた震災を思い出させるこの曲を他の国の人たちが一緒に聴いている。何とも感慨深いものがあり、それと同時にお互いの国のことをもっと気にかけようと思いました。
最後になりますが、このプログラムはAAEEの関先生やオーガナイザーの人たち、参加者の人たちなど様々な方々の尽力無しには成立しませんでした。オンラインでもここまで出来るのだと実感しました。実行する上で何度も困難があったとも聞いています。それでもやり遂げてくださったことに本当に感謝しきれません。私の人生が変わりました。そして、プログラムで出会った仲間とは今後もつながりを持ちながら、いつか実際に出会えることを心から楽しみにしています。
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