「幸せになる力」
早稲田大学文化構想学部 2 年
武内 優宝
私は Mero Sathi プロジェクトを通して大切なことに気づいた。それは、自分が幸せかどうかは自分自身のみが決められるということだ。人の幸福に環境は作用しないことを知った。このプログラムに参加してネパールへ渡航することを決めたとき、私は世界における多様性を知ることに大きな期待を抱いていた。結論から述べると、それ以上に大切なことを学んだ。今私は、このプロジェクトに参加して本当に良かったと思う。この機会を恵んでくださった方々には感謝してもしきれない。
この報告書は4章で構成される。1章ではこのプログラムを通しての苦難と解決策について、2章では調査活動について、3章ではプログラム全体を通して得た考え、そして最後に4章として今後の期待について詳述していこうと思う。
1. 苦難と解決策
このプロジェクトに参加して良かったという今のこの気持ちは確固たるものであるが、2週間の間ずっと前向きな気持ちであったかというとそうではない。正直、日本が恋しくなった日も何日かあった。特に、ネパールについた初日とシークレス村での初日に、いわゆるホームシックに陥った。ネパールの学生との気分の盛り上がりの差を痛感したり、日常と異なる環境に影響されたりしたのが原因だろう。このとき解決策となったのが、日本人メンバーが支えてくれたことだった。プログラム中、母語ではない英語を1日中使うことは、不慣れなせいか案外エネルギーを消費する。このような環境の中で、日本語で話す日本人メンバーとの時間はとても大切で落ち着く時間だった。ともに過ごす日本人メンバーからの鼓舞で私は勇気を持つことができた。1人では絶対に最後まで過ごせなかっただろう。日本人メンバーの皆と行くことができて本当に良かった。
2. 調査活動
調査活動は主に二つの場所で行われた。シークレス村と老人ホームである。最初に、シークレス村ではおばあちゃんがお茶とビスケットで私たちをもてなしてくれた。とても気さくなおばあちゃんだった。家の中を見せてもらったとき、衝撃的だった。わかりやすく言えば、日本で生活している私からは想像もつかなかったくらい狭くて汚い。これは私のステレオタイプの一種なのかもしれないが、私は正直にそう感じた。それでも彼女は“幸せ”だと言った。もし私が彼女と全く同じ環境で生まれ育ってきたら同じ答えを出していただろう。次に、老人ホームでも調査活動を行った。そのとき一人の男性の人生の出来事を聞いたのだが、正直なところ、私は彼に憐憫の念を抱いた。自身を“幸せ”だという彼に対して、私がこのような気持ちを抱くこと自体お門違いであると思うが、そこで私は自分の中にあったバイアスに気がついた。このふたりの“幸せ”は私の“幸せ”とは異なる。きっと幸せは人それぞれなのだ。
3. プログラム全体を通して
この章ではネパールと日本の共通点や相違点を挙げながら、私の考えを述べていきたい。環境の違いについては言うまでもないが、ネパールの人々の活量にも度々圧倒された。分かりやすく言うと、ネパールの人は私たちより随分とエネルギッシュであった。早起きをしてサイクリングをしたり、体を鍛えたりと各々が時間を有意義に過ごしていたように思える。また、ネパール人は日本人よりも家族や友人との繋がりを大切にしているように感じた。経済発展という側面で見るとネパールより日本の方が進んでいるのかもしれないが、時間の有意義な使い方という側面においては、ネパールの人々の方がよく知っているように思えた。また、アクティビティを通して、ネパールメンバーの知識量の多さや英語の流暢さに圧倒される一方で、日本人メンバーのプレゼンテーションにおけるスライドの明確さや丁寧さを感じた。各国にはそれぞれの良いところがあるのだと再認識した。ネパールメンバーと 24 時間共に生活するという経験をしたことは、旅行などでは気づくことのできない人柄としての本質にも迫ることができた。
4. 今後の期待
この章では、プロジェクトを通して学んだことをさらに自分の視点に近づけて述べていきたい。2 週間の Mero Sathiプロジェクトを通して、ネパール人は自分で自分を幸せにする力を持っている人が多いと思った。笑顔でいることが幸せに繋がるということを学んだ。そして、もっと肩の力を抜いて、自分の人生を自分のために生きていきたいと思った。私は、忘れかけていた、自分の人生にとってとても大切なことを思い出したように感じる。それは、人生の終わりを意識するということである。つまり、1日1日を大切に悔いのないように生きるということである。毎日を全力で生きていきたい。
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