2017年10月15日日曜日

ベトナム VJEP 2017 報告書 (8) 清水琴未(立命館アジア太平洋大学 2年)「VJEPを振り返って」

VJEP 2017-ベトナムプロジェクト報告書 (8)
「VJEPを振り返って」

                          立命館アジア太平洋大学 2年
清水琴未


 私は前年度に同じ大学の友達がVJEPのプログラムに参加していたのを見て、このプログラムに参加することを決意した。初めにもらった情報は「ベトナムで2週間、ベトナムの学生たちと交流しながら過ごす」というものだけであった。こうして5月くらいにメンバー全員が決まり、プログラムのための研修会が開かれることになったが、私が住んでいる場所が九州だったため、すぐに東京に行ける距離ではなかった。プログラムが開始する一週間前の集まりにしか参加することが出来ず、準備段階をみんなと一緒にできなかったことが悔やまれる。VJEPのプログラムではプレゼンテーションやダンスパフォーマンス、歌など日本で準備していかなければならないことがたくさんあったが、実際には東京へ行く少し前になるまで私は何の準備も行っていなかった。なんとかなるだろう、大丈夫だ、と思っていたのだ。夏休みが始まって集まりに参加したものの、2日間で集まったのはたったの4、5人だった。何一つ全員で合わせたことがない状態でベトナムへ行くことになってしまい、このことがのちにチームに悪い影響を与えることになったのだ。

 ベトナムに着いた次の日から、早速パフォーマンスを披露する場があり、私たちは初めて全員で揃える時間を作ることが出来た。歌は個人で歌詞を覚えればいいものの、ダンスはバラバラだった。特に劇の練習をした時はチームとしてのまとまりがなく大変だった。みんなでやろう!と声をかけ同じ部屋に集まっているにも関わらず、自分のプレゼンテーションの準備をしている人もいれば全く違うことをしている人もおり、全体の時間になぜ個人のことを優先しているのか私には理解できなかった。そもそもプレゼンテーションは各個人が日本で準備しておかなければならないものなのに、どうしてそれを今やっているのだろうかという気持ちが自分のイライラに繋がっていた。チームとして、いくら自分の仕事が小さいものでもみんなが集中してパッとやればすぐに終わるのに…と思いながらもダラダラと一時間ほど練習を続け、みんな部屋に戻った。自分がチームに迷惑をかけていることを理解していない人がいる時、リーダーはその人にどう働きかければよいのだろうか。こんな時にどうすればみんながチームに協力的になるようにできるのか、私は分からずイライラする態度で示してしまっていたが、もっと他にやり方があったのだと思う。それに比べて、ベトナムメンバーたちのパフォーマンスは全てが素晴らしかった。ダンスも歌もプレゼンテーションも劇も、どれを取っても見ていて面白く完成度の高いものだった。彼らは練習をするときもコミュニケーションをよく取っており、何度も集まって、そのチームワークの良さがパフォーマンスの質の良さにも繋がっているのではないかと思った。

 VJEPプログラムの後半で今回のプログラムを振り返る時間を作るのか、作らないのか、という話が出た時があった。日本に帰国してから集まればいいじゃん、という人もいれば、今日やっておくべきだと思う、という人もいてまずその話し合いをやるのかやらないのか決める話し合いをしなければならなかった。関先生からの提案でその話合いを設けるかの話題が出たのだが、先生はやってもやらなくてもどちらでもいい、全て君たち次第だ、とおっしゃっており、私はその時にこのプログラムは学生と、参加者の私たち自身で創り上げているのだということを改めて実感した。結局話し合いは行われ、そこで各自が今まで思ってきたことや言いたかったことを素直にぶつけ合う時間になったのだ。みんなそれぞれに人に対して思うことがあったり、自分の反省面を話す人もいたりで、このような時間をもうけ、振り返ることが各自の成長や学びに繋がるのではないかと思った。

 このプログラムの中で一番印象的だったことについて話したい。それはビンフックに行った時に目の当たりにした社会主義の実態だ。いくら予定が変更になったとしても、自分のやりたくないことがあったとしても、逆らえず従うしかないと耐えている人が数人いた。ベトナム人メンバーはホームステイをするよりも日本人メンバーと過ごしたいという想いが強く、数人はホームステイをしたくないと言っていた。また、私たちを受け入れてくださるホームステイ先のホストファミリーもこのホームステイを失敗させてはいけない、なんとか日本人メンバーを喜ばせてあげよう、という必死の想いがあり、私たちには至れり尽くせりであった。それは政府の人からのプレッシャーや、自分の地位を守るためであるという話もしていた。メンバーの1人が「僕たちが今我慢しなかったらこのプログラムは終わってしまう…」と話しているのを聞いた時、初めて日本とは違う国の社会体制について知ることができた。私は今まで他の国の政治体制を勉強してこなかったため、全く知識がなかったのだが、これから大学での勉強において今回ベトナムで実際に見た社会主義国家の現状についてもっと知りたいと感じた。

 最後に私がこのプログラムに参加して得た最も大きなものは、ベトナム人メンバーとの絆である。2週間共に毎日過ごし、いろんな話をし、それらを共有できた彼らとは一生の友達でいたいと思えた。彼らのアグレッシブさやひたむきさは自分のモチベーションアップに繋がり、わたしも彼らのようにこれからもいろんなことに挑戦し、経験していこうと思えた。このプログラムを作ってくださった関先生、夕葉さん、オーガナイザーなどサポートしてくださった全ての人に感謝をしたい。

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