VJEP 2017-ベトナムプロジェクト報告書 (9)
「適応力と体力」
上智大学 総合グローバル学部
総合グローバル学科1年 八巻 夏葵
(空港にて最後の集合写真、皆泣いている) |
「大学1年生の夏休みは絶対に海外に行く」と意気込んでいた私はVJEP2017に参加することに決めとてもワクワクしていた。10人のメンバーのうち6人が同じ大学のそれも同じ学部の学生で正直、驚いた。事前に行われた宿泊合宿では話が円滑に進み、重要事項が決まっていったが、それ以降、メンバーそれぞれの忙しさや連絡不足もあり直前まで話が詰まらず急ピッチでの準備を余儀なくされ、不安が膨らんでいった。もう一つの不安要素としては自分がリーダーの一人として抜擢されたことだ。今までにリーダーを担当することはあったが、海外研修という自分には初めてづくしの環境のなかでリーダーを任されることには不安しかなかった。ベトナム側のオーガナイザーに、常に超短い期限で情報を要求され、てんやわんやになっていた自分も今になれば懐かしく思う。そして待ちに待った出発当日。空港に集合した日本人メンバーは少し緊張しているようにも見えた。というのもベトナムオーガナイザーの意向でベトナム人メンバーの一切の情報を知らされておらず、不安と期待に包まれていたからだ。
2週間の活動の中で私が一番重要だと感じたのは、英語能力でも知識量でもなく、新しい環境に適応する力と体力である。英語と知識はそれらに付随してあらわれるものである。そう感じた理由として、訪問先の現地高校などを訪ねた際に、大小さまざまなスケジュールの変更の中で、歓迎してくれる生徒や先生方の前で常に笑顔でベストなパフォーマンスをするために臨機応変に対応する力が必要不可欠であったことなどが挙げられる。中身の濃いプログラムであったこともあり、毎日朝早くから活動していたため、精神的にも肉体的にも余裕があまりない生活を送っていた。それもあり、日本人メンバーの2人が体調を崩し病院に行くという事態になってしまった。他のメンバーも病院にこそ行かないものの、少し体調が優れないこともあった。プログラム前半のビンフォック省で行われたオープニングセレモニーではメンバー二人が欠け、本番まで全員で全く合わせることができなかったボンボン・バンバン(ベトナムの有名な踊り)とソーラン節の動画を後日見て、正直悲しくなった。踊りはバラバラで、自分は必死にやったつもりなのにクオリティーの低いものを披露してしまったという後悔が大きかった。
しかしそこから日本人メンバーの意識が少しずつ変わっていった。1日のプログラムの終わりの夜の時間に集合し、各々パフォーマンスやプレゼンテーションの練習に励んだ。特にパフォーマンスでは、既に完成しているメンバーが、他のメンバーに指導する様子も見られるようになった。その時を境に皆の表情が一変し、一体感が出てきたように感じられた。それからというもの踊りや歌を披露する時の皆の表情も楽しそうにみえ、全力でパフォーマンスをした後の心地よい疲労感が今思うと恋しい。そこから全体的な雰囲気も良くなり、夜には両メンバーが集い、日本の歌を一緒に歌ったり、逆に、ベトナム語の歌に挑戦してみたりした。言語の壁など感じる暇さえ無いほど楽しく、濃い時間が流れっていった。
(夜に皆で集合してゲームなどで楽しんだ) |
変更も多く、超過密スケジュールをこなしていく上で、ベトナム人オーガナイザー達のサポートを強く感じた。彼らはVJEP2017のプログラムを迎えるにあたって、4カ月間も準備に全力で取り組み、プログラムの進行にできるだけ差支えが無いように、常に気を配ってくれた。本プログラムは彼ら無しでは成り立たなかったと断言できる。
VJEP2017に参加する前に自分が抱いていたベトナムに対するステレオタイプ的イメージなどは、たった2週間で見事に打ち砕かれた。沢山の才能に溢れ、自分とは違った考えを持った優秀な大学生と日本人メンバーたちに囲まれ、ベトナムで過ごした大学生として初めての夏休みは間違えなく忘れられないものとなった。空港で別れるときは、涙と名残惜しさで満たされていた。短期間でここまで離れたくないと思える友人たちができたことに驚いた。これから大学で勉強するなかで、自分が本当に学んでいきたいこと、学ばなければいけないことが明確になった。自分は、二年次に交換留学を考えているが、ベトナムでも学びたいという意欲が出てきたため、チャンスがあれば挑戦してみたいと考えている。
もしこれを読んでくれていて、東南アジアやベトナムに少しでも興味があり、夏休み有意義な経験をしたいと考えている学生がいるならば、是非このプログラムに参加してほしい。新しい環境に身を置くことで客観的に自分を見直すこともできるはずだ。さらに私の場合、将来の自分のキャリアのために今何をするべきなのかについて真剣に考えるきっかけになった点に加えて、国外の優秀な学生たちと触れ合う中で沢山の刺激を受け、良い意味で焦りを感じ、一回り成長することができた。このプログラムに携わってくださった関係者や両親には感謝しきれない。来年の新入生に自信をもって勧めることができるプログラムに出会えたことは自分にとって大きな収穫になった。
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