「交流する」ということ
上智大学総合グローバル学部
総合グローバル学科1年
桑原 大将
左が桑原大将 |
8月の約2週間、ベトナムでの学生主体の学生交流プログラム、VJEP (Vietnam-Japan Exchange Program) に参加した。私はこれまで海外はカナダには行ったことがあったがアジアの国に行くのは初めての経験だったので、とても期待をしていた。このプログラムでは日本の学生10人とベトナムの学生10人プラスベトナムの学生コーディネーターという構成で行われた。実際にスタディーツアーが始まるに向けて自分たちはベトナムの食文化から戦争の歴史など幅広く下調べをした上で臨んだ。
最初にベトナムの地に降りて思ったことは、ホーチミンのとても活気にあふれた街並みでる。同じアジアでもこうも違うのかと思った。翌日にベトナムメンバーとの顔合わせをした時にはさらに驚かされた。彼らは初対面であるにもかかわらずとてもフレンドリーに接してくれるのである。彼らの様子から、私たちとの出会いへの強い期待やこのプログラムへの意気込みを感じた。プログラムでは戦争記念博物館訪問する機会があったが、そこで感じた空気は自分が沖縄で感じたのと同じようなものであった。やはり戦争はその地域やそこに暮らす人々に深刻な影を落としてしまうのだと再認識した。またダラットでは農家に赴き現地の人々とキャンプファイアーをしてローカルフードを食べた。言葉が通じないにもかかわらず、食事と歌を通してお互いに通じることができた。
このプログラムは旅行会社の企画旅行ではなく学生主体であるため、スケジュールもすべて学生が話し合って組んだものである。そのため、スケジュール通りに行かなかったり、ミスがあったりもしたが、その時の情報伝達がうまくいかないことなどで混乱を生じてしまった。それがきっかけで、日本のグループ、ベトナムグループ全員での話し合いが行われた。お互いの本心を遠慮せずに言い合ったこの議論の場は、少し規模は小さいがまるで国際会議のようにさえ感じるほどであった。そこで改めて気付かされたのが日本とベトナムの考え方の違いである。
私が一番学んだのは時間の感覚に対する意識の違いである。日本人は日本の通勤電車からもわかるようにとても分刻みで時間に正確行動しようとする。プログラム中も、日本メンバーは事前に配布されたプログラムを確認し、そこに書かれている時間を守ろうという意識が強かった。そのため、時間通りにプログラムが進行しないと不安になり、いらいらするメンバーもいた。一方ベトナムの人々とって予定はあくまで予定であって、それが変更されたところでその都度対応していけばよいといったような柔軟性のある考え方をしていた。確かにこの考え方にも一理ある。物事は思い通りにいかないこともある。プログラム進行中であっても必要に応じて軌道修正していく柔軟性は、時間を守ることと同じくらい大切なことであると思った。このことを、学生同士の話し合いを通して知れたことが、このプログラムに参加した一番の意義であったと思う。異なる文化や価値観をもつ二つの国の学生による2週間の共同生活が、ここまで様々な文化・習慣の違いによる出来事を伴うとは当初は思いもしなかった。こうしたことに気づくことができたのも、学生自身が主体的に行動するこのプログラムの特徴だと思う。
今、大学では国際協力を学んでいるが、今回のスタディーツアーを通じ、座学による知識習得と共に、それを実践する練習も必要なのだと実感した。今回私が一番強く学んだのは、主体性をもち、必要な時には自己主張をすることの必要性だ。とかく日本人は謙遜しがちなところがあると言われているし、私もその例外ではないが、言うべきときには自分の考えを明確に表明する必要がある。今回のプログラムにおいて、ベトナムメンバーは各個人がそれぞれの意見を主張し、議論によって個々の意見を戦わせながら物事を進めていた。一方で私を含む日本メンバーは、ベトナムメンバーに合わせて言われた通りに行動することが圧倒的に多かった気がする(ベトナムにおけるプログラムなので仕方のない部分もあるが)。
日本人としてのアイデンティティを保ちつつ国際人であることを自覚しグローバルに行動する。それは簡単なようで難しい。しかしそうした壁を乗り越えた時に真の意味での国際協力が実現されるように思う。
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