2016年10月26日水曜日

ベトナムVJYE 2016 報告書(10) 曽 子傑 (東京経済大学経済学部2年) 「発見」

「発見」

東京経済大学経済学部2年
曽 子傑

ついに待ちに待った人生初の海外研修を迎えることになり、期待半分、不安半分でこの研修に臨みました。期待というのは、初めてベトナムに訪ねて、本格的なベトナム料理を食べられることです。不安というのは、果たして今まで勉強してきた英語は100%出しきれるのかのというものと、ベトナム人と友達になれるのかというものです。9月3日から16日までに14日間も亘るベトナム海外研修を終え、大きく分けて二つのことに気づきました。
一つ目は英語の重要さを改めて感じることができたことです。今までは何となく英語は言われるままに、はっきりした目的もなく勉強してきました。しかし、今回の研修で言葉の大切さを知ることができました。私たちが訪れたのはホーチミン市です。ベトナムの空港に着いてからは、日本語を書かれている看板などが一切なく、ベトナム語と英語しかありません。現地の人で日本語を分かる人はもちろんおらず、コミュニケーションをとる手段はもう英語しかないのです。今回の研修ではベトナム人メンバーはおおよそ12名おり、私たちの共通言語は英語しかないので努力して英語で会話していました。そこで私が思ったことは、ベトナム人学生は全員、日本人メンバーより英語がはるかに上手だということです。なぜ、私たちは彼らと同じく小学校や中学校から英語を勉強してきていたのに、こんなに大きな差があるのかと疑問を抱きました。日本人は確かに英語に対して苦手意識を抱える人がとても多いです。今、日本では小学校五年生から英語を学び始め、高校までの8年間ずっと授業を受けています。しかし、その結果、実際どれぐらいの人が英語を喋られるのでしょうか。自己紹介や簡単な単語ぐらいは大丈夫と思いますが、いざ外国人と英語で話す時にしっかりとコミュニケーションを取れる人はどれぐらいいるのでしょう。日本の学校では文法が中心となっている授業が多く、読み書きに特化してインプットに力を入れるのが日本の英語教育の主流です。確かにインプットした知識は持っているが、それを口に出して人に伝えるアウトプットの訓練が不足している気がします。それに加え、日本は島国であるので日本語だけでも就職に困らないことが多いです。一方ベトナムはまだ発展途上国ですが、彼らにとって英語ができない場合には他に高いスキルを持っていない限り良い仕事が見つかりません。彼らは生活がかかっているので、日本と比べてプレシャーが違います。
私は昔から読み書きが不得意ですが、スピーキング力だけには自信あります。初日は自己紹介をし、そのあとベトナム学生と日本学生一人ずつでペアを組んでホーチミン市を観光しました。その間、私とパートナ―はずっと英語で些細なことから深い内容のことまで話し続けていました。しかし、何度か会話を続けていくうち、もう日常的な話題や、知っている単語も使い切ってしまい、それ以上の話はできませんでした。もっといろいろなことを話したい気持ちはありましたが、今、自分の英語力ではまだ伝えることが難しかったのです。今回の研修でグローバル人材になるにはまだまだ英語力が全然足りないことに気づきショックを受けました。しかし、きっとその悔しさはこれから勉強するための良いエネルギーになったと思います。
二つ目に気づいたことはベトナムの発展です。普段日本ではあまりベトナムについて触れる機会がなく、授業でベトナム戦争を勉強したのと、物価が安いこと、あとは料理がおいしいということぐらいしか知りませんでした。空港から出て外の町を見たとき、高層ビルや整備された街並みが目に入ってきて、以前ベトナムに対して抱いていた貧困のイメージが全部ひっくり返されました。ホテルからすこし歩けば、日本でも有名な高島屋やマルイなどの大きなショッピングモールもあり、高級ブランドの専門店も数々ありました。
ベトナムは発展途上国ですがASEANに加盟して海外への輸出にも力を入れています。ベトナムの平均月収は二万円程度で、日本の十分の一以下です。人件費が安いため、日本からも味の素、富士通、キャノンなど多くの大企業がベトナムに進出をし、工場を置いています。ホーチミン市ではファミリーマートとコンビニエンスストアも見かけました。ベトナム人の主な交通手段は車とバイクですが、町中にトヨタとホンダの車とヤマハのバイクが使われているのを見ました。ある日メンバー全員で夜ご飯を終えてシティーのナイトツアーがあり、町を歩いていたら目の前にある工事現場に英語でVietnamJapanの旗の模様が貼られておりました。そのことについてベトナム学生に聞いたら、それは日本が支援してベトナム政府と一緒に地下鉄を作っていると教えてくれました。ホーチミン市ではあちこちに日本の影響を受けているところが見られました。
時が経つのはあっという間で、皆がやっと仲が良くなってきたばかりですが、もう別れを告げる時が来てしまいました。この12日間、肌で現地の雰囲気や民族性などを感じることができました。いろいろ貴重な体験をさせていただき、多くの発見をすることができました。日本にはないにぎやかさと元気があふれていて、毎日新しいことを発見できることに生きがいを感じ取れました。しかし、もうここから離れると考えると非常に残念な気持ちでいっぱいになりました。ベトナム学生のリーダーはこう言いました
it’s not goodbye, this is start of something new!”

これは終わりではありません、きっと私たちがここで出会えたのは一つの縁であり、それをきっかけにお互いの文化や言葉を知ることができた、これからもお互いのことを励まし合い成長し、また次会えるのを楽しみに待っています。

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