2016年10月30日日曜日

ベトナムVJYE 2016 報告書(14) 石井 侑登 (東京経済大学経済学部4年)「ベトナム研修を通じて新たに学んだこと」

「ベトナム研修を通じて新たに学んだこと」


東京経済大学経済学部4年
石井 侑登

私は昨年関ゼミ生としてネパール・タイでの海外研修へ参加し、水道も電気もほとんどない山村に滞在する中で「英語に限らず相手に通じる言語の大切さ」と「相手の文化を尊重し、理解しようとする姿勢の大切さ」を学びました。2週間という短期間でしたが、現地の学生と朝から晩まで行動を共にし、お互いの習慣や人格を尊重しながら交流を進めたことで、自身の異文化適応力を高めることができました。
今年のベトナム研修では、昨年学びえた上記のことを意識しながら交流をし、新たな気づきを得ました。
一つ目は、両国の学生たちがお互いの言語を教え合っていたことです。英語を介した交流がメインの本プログラムにおいては貴重な英語を話す時間が減少してしまいますが、お互いがお互いの言語に興味を持ち、さらにその知識を深めていこうとしている点では、異文化理解が出来ていたと思います。相手の言語を覚える際には、「ありがとう」や「こんにちは」などのありきたりな言葉も重要ですが、それよりも大切だと感じたのは相手が思わず笑ってしまうような言葉を覚えることです。その笑いから英語での会話が続いたことがしばしばあったからです。例えば「僕すごくかっこいいけど、さすがに知っていたよね?」。外国人が片言でこんなこと言ってきたら面白いですよね。
二つ目は、自分から話題を作り話しかける積極性が必要だということ。これは多文化交流に限ったことではありませんが、いくら英語が流暢な人でも発信しなければコミュニケーションはとれません。今回の私の反省点は、交流に関してやや消極的になってしまっていたことです。ベトナム人とも共有できるような話題を見つけることに苦労し、当初は自分から話しかけるということが他のメンバーと比べて少なかったです。それに2週間あればいずれ自然と打ち解けていくだろうと心のどこかで思っていました。話す人とは話しますが、話さない人とはあまり話さないという状態のままプログラムの折り返しに差し掛かったところで積極性の大切さを痛感しました。そこでなんとか話題を見つけようとして思い立ったのが、上記でも述べたように、面白いベトナム語を教えてもらい他のベトナム人メンバーに実践するということです。これは非常に効果的で、すぐに打ち解けることが出来ました。
三つ目は、ホーチミン市についてです。想像していた以上に高層ビルが多く、至る所で建設が進んでいました。地下鉄も数年以内に開通するそうです。日系企業も多く進出しており、今後さらなる経済発展が見込まれます。しかし、建設現場の労働者たちに着目した私は言葉を失いました。きらびやかに彩られた完成予想図の前で、それとは対照的に憔悴していた彼らは、顔や肌の色から推定し外国からの出稼ぎ労働者です。ここで事前に学習していたベトナムの経済格差を実感しました。今後はこの経済格差是正への取り組みも重要になってくると思います。私はセキュリティに興味があり、街中にいる数多くいる警備員に注目したり防犯カメラのタイプなど観察したりしていましたが、ホーチミン市を離れた村ではそのようなセキュリティをほとんど見ませんでした。セキュリティの需要について疑問を抱いたので、ベトナム人メンバーに通訳を依頼して村の家やお店に話を伺ったところ、セキュリティはあれば便利で助かるが、生活するのに精いっぱいで、導入するお金がないと答えてくれました。ここでも都市と地方間の経済格差を実感しました。
最後は、人のつながりの大切さです。研修期間中の自由行動時間を利用し、ベトナムに進出している日系企業のオフィスを訪問し、現地で勤務する日本人社員の方から貴重なお話を聞くことが出来ました。さらに同じベトナムオフィスで東京経済大学の卒業生が勤務しているとのことでその方を紹介してくださりました。そもそもベトナムで働く日本人社員の方を紹介してくださったのは、私がオーストラリア留学中に出会った方です。どこでどのような出会いがあるかわかりませんが、人との出会いは大切にしていきたいと改めて思いました。また、今回のベトナム人メンバーも今後私たちがベトナムについて知りたいことがあったときなどに協力してくれます。海外の情報は誰でもジャーナリストの記事から得ることが可能ですが、実際に現地に住んでいるネイティヴを友人に持つということは、より詳細な情報を得ることができ、特権です。

結論として、昨年のゼミ研修では発見しきれなかった新たな気づきを今回のゼミ研修を通して発見できたことで、多文化交流における自身の振る舞いや行動を見直すきっかけとなりました。私は10月からオーストラリアへ行きますが、この研修で学んだことを活かして異文化適応力をさらに高めていきたいと思います。

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