「VJYEプロジェクト ベトナム研修から学んだ事」
東京経済大学経済学部3年
竹下 翔
今回、私は大学のゼミの一つである「関昭典ゼミナール」の研修生の一人として、2週間のベトナム研修に臨んだ。海外自体は初めてではなかったが、ベトナムに行くのは初めてだったので緊張もしつつ、何よりわくわくとした感情が自分の心の中に渦巻いていた。
以下に私がベトナムで2週間学んできた事を具体的に記す。
まず初めに、本レポートのタイトルともなっている「VJYEプロジェクト」について説明する。これは略称であり、正式名称は「Vietnam Japan Youth Exchange」である。初めて授業内でこのプロジェクトの正式名称を聞いた時は、私の脳内でただ単純に日本語に訳しただけであったが、今にして思えばこの名称には何かを考えさせられる、そのような力をひしひしと感じる。とりわけ 「Exchange=交流」について、その重みを経験を通じて強く感じるようになった。
持続可能な開発目標(SDGs)からの抜粋 |
次に、そもそも何故私達が海外研修を企画したのを記していきたい。今回私達関ゼミはSustainable Development Goals(持続可能な発展)略称してSDGsという国際連合が掲げた目標に向けて実際に自分達で行ってみようということで始まった。SDGsには計17個の目標があり、その中に:
・目標 15. 陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・防止および生物多様性の損失の阻止を促進する。
・目標 17. 持続可能な開発のための実施手段の強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
という二つの目標がある。今回のベトナム研修で、この項目に重点を置いた活動を行い、少なからず貢献できたように思われる。この二項目に焦点を当てて研修中に印象に残ったことを記していく。
私達がベトナムに降り立ったのは、だいたい夜の12時ぐらいだった。そこでこれから2週間ずっと行動を共にしていくこととなるHoasen大学の学生メンバーのリーダーたちと出会った。やはり最初はお互いに何を話せばよいかわからず気まずい様子が伺え、この調子で本当に何か学べるのかと私はずっと疑問に感じていた。
次の日にとある喫茶店でVJYEメンバー全員と初めて顔を合わせた。そして私は少し壁を感じてしまった。というのも、やはり会話手段が英語しかないという事である。私は今まで、英語を使う機会をこのベトナム研修以外に見つけようとしていなかった。そのため英語の重要性をあまり理解していなく、実のところ英語の学習を怠っていて、その結果、あちらの学生と上手くコミュニケーションをとることが出来なかった。ただその経験は無駄ではなかったと思う。というのも、おかげで英語の重要性を強く認識できた。日々の英語の学習を大事にしていこうと考えた。
ベトナム研修の中盤ぐらいであったか、私達は、Hoasen大学で日本の四季に関するパフォーマンスを行った。このパフォーマンスは、ベトナム研修前から一生懸命練習していたものである。練習の成果もあり結果的には大成功に終わった。私はこのパフォーマンスをきっかけにVJYEメンバーとの距離が近くなった様に思われた。そしてこの時点で、SDGsの目標17にやっと足を踏み入ることが出来たのではないかとひしひしと感じた。
次に、SDGsの目標15への貢献について述べる。VJYEメンバー全員で行った公園でのゴミ拾いとタライという村でのゴミ箱設置がそれに当たる。タライという村で行ったゴミ箱設置は、穴を掘りそこにゴミ箱を引っ掛けるための棒状の物を入れて、最後にコンクリートを流し込むという、作業自体は単純なものであった。単純ではあるが地味に体力を使う作業であったため疲労してしまった。しかし、あちらの学生と村の住民と一緒に行ったゴミ箱設置は非常に楽しかった。
ゴミ拾いは、ホーチミン市にある公園で行った。日本と違ってやはりゴミがたくさん落ちていて、ほとんどきりがないように思えた。ただ、それもゴミ箱設置と同様に、あちらの学生と行ったのでわくわくしながらゴミ拾いを行うことが出来た。
ゴミ箱20個設置 |
しかし、これを読む方々の中にはゴミ箱設置やゴミを拾っただけで何をそんなに過大評価しているのだと思われる方もいらっしゃるだろう。現に私もそう考えていた。しかしながらそれは違っていた。世界に大きく影響した行動だけが称えられるのではない。1つ1つの影響は小さくてもそれを続けていくことで、それは塵も積もれば山となるのではないだろうか。
SDGsを意識しながら行ったこのゴミ拾いを私は一生忘れることはないだろう。
そして最も印象に残った出来事は、あの有名なグエン・ドク氏のお話を聞けたことである。我々の世代でベトちゃんドクちゃんのエピソードを詳しく知っている者は少ないだろう。私も詳しく知っていたわけではなく、実際にお話を聞いてみて、彼らが体験してきたエピソードを知らずに生きてきた私が非常に恥ずかしく思えた。
グエン・ベト氏はすでに亡くなっていて、グエン・ドク氏が私達に彼らの体験談をお話しして頂いたわけだが、ベトナム戦争で最も恐怖されていた「枯葉剤」が、日本で作られたものを使用していたという事実に大変哀しみを覚えた。この事実は絶対に忘れることのないよう生きていかなければならない。
そしてお話の最後に、グエン・ドク氏がおっしゃっていた
「あなた達が世界に平和を広げていってほしい。」
この言葉に私は非常に感銘を受け、世界中の人々が実現させなければならない目標であると再確認することが出来た。
枯葉剤の被害者グエン・ドク氏講演会&食事会 |
以上、私が2週間の研修中で特に印象に残ったことである。他にも多くの経験をさせてもらったが、長くなってしまうので省略とさせて頂く。
さて、ベトナムに研修に行き、何を学べたか、何を感じ取ったか、その経験を今後どのように実行していくかをまとめていきたい。
SDGsを目的に行ったVJYEプロジェクトであったが、私達は一定の成功を収めることができたと考える。まず、SDGsの目標15に関しては、公園でのゴミ拾いとタライでのゴミ箱設置で貢献できたであろう。そして、目標17にも貢献出来た。というのも初めは、ぎくしゃくしていた私達であったが、最終日にはお別れが悲しくて号泣している人もいたほど仲良くなった。それは、この2週間という短い間でもお互いがお互いを思いやり、そして同じ目標に向かって行動していった結果ではないだろうか。
この経験は確実に私を成長させた。これから私がどう行動し何をなすべきかは明確的ではないが、「SDGsの掲げた目標を軸にこの世界がよりよくなるよう行動していくべきだと」とまとめ、本報告書を終わりとさせて頂く。
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