2016年10月22日土曜日

ベトナムVJYE 2016 報告書(5) 山田 悠貴 (東京経済大学経済学部3年)「大切なもの」

「大切なもの」

東京経済大学経済学部3年
山田 悠貴

右が山田悠貴
私は、このゼミ研修で訪れたベトナムが人生で二回目の海外になりました。しかしアジアの国に訪れるのは今回が初めてのためこれからどのような生活を送り、今までの生活と違う所はどこなのかなど多くの期待を抱いていました。今回の研修では、実際に現地の学生と交流しながらプログラムを進めていくという内容であったため、初めはもし彼らが内向的で話かけてもらえなかったらどうしようという不安もありました。しかし、彼らも私たちと同じ気持ちでいるのではないだろうかと考え、顔合わせの際に自ら積極的に話しかけてみようと私の中で決意し実行してみました。すると数分後には、初対面という感覚からすでに知り合いであったかのような仲になることができ、ベトナム人学生のフレンドリーさに驚きました。これを機に壁が一気になくなりトランプやUNOをするようになりました。そんな中一人その輪の中に入っていないメンバーがいたため私は彼を誘いに行ったのですが、彼には断られてしまいました。その時に言われた言葉が、「自分は親に二つのことを禁止されている。一つは飲酒、もう一つはカードゲームなんだ。」と彼は言っていました。このことを受け、後日違うベトナム人メンバーに親をどう思っているか聞いてみたところ、彼らは口をそろえるかのように同じことを言いました。「私たちは親のお金で食べ物に困ることなく暮らせている。だから親とした約束は守るし親を悲しませるようなことはできない。」このように言われ、今までそれが当たり前だと考えていた自分の恥ずかしさを知ることができました。当たり前のことが当たり前でなくなっていたことに気づかせてくれた彼らの性格を、このことからさらに知りたいと思いました。
次に、私たちは彼らと一緒に今年のゼミのテーマでもある「持続可能な開発17の目標(SDGs)」の講義を受け、そこで事前に調べていた世界で起きている現象、日本で実際に取り組まれている内容をプレゼンテーションという形で発表し、現地の大学教授から幸いにも高い評価をいただきました。また、実際に市内でゴミ拾いを行い持続可能な開発に関わることも経験しつつ、ベトナム人学生と苦労をともにしながら話すことでよりお互いを知ることができました。ベトナムではゴミ拾いのボランティア活動をすることが非常に珍しいことであるらしく、なぜ日本人がここまで快く引き受けるのか、と何度も質問されました。ベトナムではゴミが路上に落ちているのは当たり前のことで多くの場所で綺麗にしようという気持ちがないと言っていました。そんな中、話の内容をシェアしたことで彼らがより日本が好きになったと言ってくれた時はとても嬉しかったです。
後日、私たちはベトナム南部のTa Lai村という場所にいき、そこに定住している民族の文化に触れました。そこでは民族独自の織物や狩猟のため昔使われていた武器、そのほかにもネックレスやイヤリングなどがあり、まるで自分がテレビの中に来ているような感じがしました。このような文化を実際に体験させていただいたこともあり、私たちはこの村の役に立てることがないかと考え、村をきれいに保ち文化を伝えていくためにこの村全体におよそ22個ものゴミ箱を設置しました。朝一番にいくつかのグループに分かれ、あらかじめ決めていたポイントに道具を持っていき、穴を掘る作業を行いました。深さ、高さ、幅がおよそ50センチになるよう交代制で掘り続け、それが終わると一度集合場所に戻り、その場で砂、石、水からコンクリートになるものを作りました。そのコンクリートとゴミ箱を設置するための支柱を掘っていた数か所の穴に持っていきそれをコンクリートで固めました。乾くのに1日待ち待ちましたが、その後無事ゴミ箱を設置することができ、すべてが完成しました。ゴミ箱に鍵をかけ設置した際の達成感はとても大きく、現地の人の満面の笑顔と同じくらいかけがえのない思い出となりました。ベトナム人学生メンバーと私たちが行ったゴミ箱設置がその村で今後役に立ち続けていってもらいたいです。
 この研修を通じ、ベトナム人の文化、歴史、生活などをベトナム学生から直接学び、互いのことについて伝え合うことで、小さくても海外と繋がるネットワークができました。ここで学ぶことのできた知識は私の考え方を変えさせてもくれました。いただいたネットワークを大切にしていきたいと思います。
ベトナムと日本の友好関係の懸け橋になったと言われている枯葉剤の被害者、ドクさんから直接ベトナム戦争のお話を聞いたときにはとてもショックな気持ちになりました。日本がその戦争に関わっていたこと、被害を受けた人々の子孫がいまだ枯葉剤の影響を受けていること、そして何よりも戦争がもたらす被害の大きさを改めて知りました。このような詳しい内容もベトナムに来たからこそ知ることができたのであり、このようなネットワークを広げていきたいと思っています。

多くの体験をこの短い2週間の中でさせていただきましたが、一番大切なことを最後に述べさせていただきます。それは笑顔です。初めてベトナムメンバーと話した際、笑顔があったからこそ友達になれました。Ta Lai村で写真を撮った際、子供たちは英語を理解できず僕はベトナム語が理解できないため、言葉ではコミュニケーションをとれませんでした。そのため笑顔で彼らの目を見ながら手招きをしたことによって彼らとも写真を撮れました。ドクさんもプレゼンテーション後には笑顔で写真撮影に応じてくださりました。何においても笑顔があることによりコミュニケーションが取れ、初体験の不安や、悲しみから救われることができるとこの研修を通してわかりました。これからも笑顔を大切にして、ここで学んだことを私の生活に生かしていきたいです。

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