2016年10月19日水曜日

ベトナムVJYE 2016 報告書(3) 北野 宏晃(東京経済大学経済学部3年)

「現場の大切さと日本の誇り」

東京経済大学経済学部3年
北野 宏晃


今回の研修で最も印象的だったことは、ベトナム先生で使用された枯葉剤の被害者、グエン・ドク氏の講演会である。私は小学生の時、環境問題に関する図鑑を読み、そのとき、私は幼少期のべトさんドクさんを見つけ、強い衝撃を感じたのを覚えている。今回、ドク氏本人と間近でお話を聞く貴重な機会をいただいた。この講演会を通じて得たことが2つある。

1 現地の方から戦争を理解する大切さ
2 ドク氏が個人的な面と経済的な面で日本に強い感謝の気持ちを抱いていた

ドク氏のお子さんのために寿司ゲームをプレゼントしました(右がドク氏、左が北野)

1 講演会の時、ドク氏が訴えていたものはベトナム戦争の悲惨さであった。パワーポイントを使用しながらの講演であったが、スライドの内容は、戦争の被害に関する写真が多く占めていた。私は中学・高校時代歴史が得意だった。もちろん、ベトナム戦争についても学んだ。だから、私は講演会が始まるまで、ドクさんがお話しされるベトナム戦争について完全に理解できていると思い込んでいた。しかし、それは私の傲りであった。出てきた写真は、学校の教科書に載せるのが困難なほど、残酷なものばかりであった。その写真のほとんどが初めて見たものであり、あまりの衝撃に私の脳の処理が追いつかなった。 
分離手術前の故ベトさんとドクさん
ベトナム戦争は、私が想像していた以上に非人道的だった。そして、残酷なのは当時の写真だけではない。現在でも、ベトナム戦争(主に枯葉剤)の影響で障害を持った子どもが生まれているのだ。その確率は3%にも及ぶという。形式上ベトナム戦争は終わったが、40年以上経過した今でも痕跡は残っている。つまり、ベトナム戦争はまだ終わっていないという驚愕の事実を知った。私はあっけにとられていた。
 現地の方から戦争を理解する大切さ。この講演を通じて学んだことの1つである。
前述のように、私は、教科書等でしっかりと学習したにも関わらず、衝撃のあまり「脳の処理が追い付かなくなった。」「あっけにとられていた」そのような瞬間があった。つまり、私は表面的にしか理解できていなかったということだ。教科書や、文献で知識や原理原則を理解する。ただ、それだけでなく「現場で見て学び理解する」「現地の人から現状を聞き、理解する。」この2つも付け加える事が最重要だと感じた。今回、ドク氏の講演会のように現地の人から現状を聞いて理解することで、より戦争の悲惨さを学んだ。そして、この講演で、一つの結論が導きだせた。「戦争が起こる原因は、相手をわかろうとせず無理解を引き起こして衝突するパターンだけではない。戦争を起こす者達が、戦争の悲惨さを知らないことである。」まずは、自分達が戦争の悲惨さを十分に理解し、それを後世に伝えることこそが、我々にできることではないかと考える。また、それが戦争のない平和への第一歩とも考える。


2 「分離手術には、日本の医師が協力しただけでなく、募金などのサポートもあったから成功できた。だから、日本に強い感謝の気持ちがある。今後も日本とベトナムの友好を継続するために、多くの人の関心を集めたい。こういう訳で、ドク氏の双子の子どもにサクラさんとフジサン君と名付けた。」このエピソードを聞いて、私は感銘を受けた。また、ドク氏のように、日本の行いに対して強く感謝してくれる方に出会ったのも初めてであった。だから、目の前で感謝の意を述べられ、更に、子供の名前に日本の象徴を使ってくれたということに、日本人として誇りを感じた。
 そして、ドク氏は自分のことだけでなく、ベトナムの経済発展も日本が大きく貢献していると称賛していた。事実、市街地を歩くとそれは実感できる。例えば、コンビニはサークルKやファミリーマートが多く存在していた。即席麺もACECOOKが手掛けており、人気を博していた。また、今回我々が利用したタンソンニャット国際空港も、日本政府からの円借款を受けて作られたものである。このように、ベトナムでは日本企業や直接投資でたくさんの恩恵を受けている。ドク氏の講演だけでなく、実際に現場に行ってこのようなことが感じられた。

日本、ベトナム、私の将来
 今後、ベトナムはさらに発展し続けるであろう。なぜなら、ベトナム人はハングリー精神旺盛で、勤勉かつ平均年齢も28歳と若い。その一方で、日本に対して危機感も感じた。日本は、裕福で恵まれた国である。故に、余程のことがない限り飢え死にすることもない。だから、ハングリー精神が感じられない。また、ベトナム人の多くの学生は、朝7時から夕方5時まで必死に勉強するが、日本の大学ではそれがあり得ない。そして、日本は平均年齢が46歳と高く。今後も少子高齢化の影響で国内市場も縮小するであろう。

 今の私にできることは、ベトナム人に負けない位勉学に励み、今回学んだ「現場に行って理解すること」を大切にして、見識を深めるつもりだ。そして、将来日本、ベトナムだけでなく、多くの国や人に貢献できる人財になれるよう今から精進する。
ドク氏を囲んて記念撮影

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